最高裁判所第二小法廷 昭和24(れ)982 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人静永世策上告趣意第一点について。
本点前段所論の、原判示第一認定の事実は、その挙示証拠によつて明認できるの
である。所論の、正当の受任により且つ受配保管を托された事実の如きは、原判決
の認定しないところである。されば所論の理由のないことは明らかである。次に本
点後段の所論については、本件は詐欺罪であつて、配給統制違反の罪ではないので
あるから、所論は根本において理由のないこと明瞭である。
同第二点について。
原判決挙示の証拠は、被告人の原審自供の外、配給所主任A提出の顛末書(配給
数量に関する)が補強採証されているのである。尤も、所論の如く、同顛末書によ
つては、詐欺罪の故意を証拠立てるわけにはゆかないけれども、元来補強証拠は犯
罪構成要件の全部について一々存在することは必要ではなく、犯罪の客観的構成要
件である罪体について存在し、之と自供と相侯ち綜合して犯罪の全部を認定できる
ものであれば足るのである。従つて故意の如き犯罪の主観的要件については、自供
の外に直接の補強証拠を必要としないものであることは、当裁判所屡次の判例とす
るところである(昭和二三年(れ)第一八五一号同二四年四月七日第一小法廷判決
判例集三巻四号四八九頁。昭和二三年(れ)第七七号同二四年五月一八日大法廷判
決判例集三巻六号七三四頁。各参照)。論旨は理由がない。
仍つて、刑訴施行法第二条旧刑訴第四四六条に従い、主文のとおり判決する。
この判決は全裁判官一致の意見である。
検察官 岡本梅次郎関与
昭和二五年九月八日
- 1 -
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 霜 山 精 一
裁判官 栗 山 茂
裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
- 2 -